「ショールーム制作を上長に依頼されたが、どれくらい予算が必要なのかよくわからない」
「どれくらいの納期を見込んで、予定を組めばよいのかわからない」

新しくショールームの立ち上げプロジェクトを依頼され、上記のように悩んでいる企業担当者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。ショールーム制作では設備工事や内装工事などさまざまなコストが発生します。外部パートナーに発注する前にある程度把握しておくことで、提案や打ち合わせなどのコミュニケーションを円滑に進められます。

今回の記事では、ショールームのコスト計画の立て方について詳しく解説します。また、コストだけではなく、スケジュールを組む際の注意点についても解説。

これからショールーム制作を進めるにあたってコスト、スケジュールについてイメージを膨らませたい場合は、ぜひ参考にしてみてください。

Index

■ショールーム制作にかかるコスト一覧

■ショールーム制作のコスト計画に関する事例3選

■ショールーム制作のスケジュールに関する注意点

■まとめ

■ショールーム制作にかかるコスト一覧

ショールーム制作にかかる費用は様々な種別で構成されていますが、ここでは大きく5つに分けて説明をします。

  1. 建物工事(新規建設の場合)
  2. 解体工事(リニューアルの場合)
  3. 設備工事
  4. 内装工事
  5. 展示装飾工事

それぞれどのようなコストなのか、1つずつ細かく確認していきましょう。

①建物工事(新規建設の場合)

新しい工場や研究開発拠点、オフィスの新設時に検討されることの多いショールームですが、新しい建物の場合には建設費用がかかります。

主にゼネコンや設計会社と、どのような建物にするか進める事になりますが、建物全体のコストにのみ注力してしまい、設置予定のショールームに予算を割けずに思った形が実現出来なくなる場合もあります。

計画が頓挫するのを防ぐためにも、建築コスト、ショールームのコストをバランスよく考えましょう。

②解体工事(リニューアルの場合)

既存の建物をリニューアルして、ショールームを制作する場合は設置予定場所での解体工事が必要となります。

設置場所の状況や新設するショールームの内容によって解体範囲は変化しますが、該当箇所の資産区分を確認し、決められた工事区分を確認しながらどの会社に解体工事を依頼するのか把握しておきましょう。

③設備工事

設備工事は主に電気、空調、換気、ガス、上下水道、防災工事など建物内のインフラ整備を行う工事を指します。施設の大きさや間取り、導線などに影響を受けることのほか、建築基準法や消防法といった法律で仕様が決められていることもあり、快適かつ安全にショールームを使用するために大切な工事です。

建物や工事内容によって工事を担当する会社が変わり、条件によって金額も大きく変動する項目のため、早い段階で専門会社に相談し、概算金額を把握しましょう。

④内装工事

内装工事とは、一般的に空間を構成する「床」「壁」「天井」の下地作りから、床材や壁紙等の仕上げの工事までを指します。

使う材料によって、空間的な印象が大きく変わる大切な要素となる工事で、同時にコストも変わってきます。

⑤展示装飾工事

商品のディスプレイ什器や説明サイン/グラフィック、場合によってはデジタルコンテンツなど、サービスや商品の訴求をするショールームの根幹となる部分の工事のコストとなります。

ディスプレイ専門会社に相談しながら参考事例などを確認し、どの様な展示手法が効果的な商品訴求となるのかイメージを持ち、コストに関する計画を考えていきましょう。

■ショールーム制作のコスト計画に関する事例3選

ショールーム制作のコスト計画に関する事例として、以下の3つを紹介します。

  1. 既存ショールームのリニューアル工事
  2. 新社屋ショールームの新設工事
  3. 既存工場敷地内ショールームの新設工事

事例を確認しながら、コストに対するイメージを深めましょう。

①既存ショールームのリニューアル工事

こちらのショールームでは、商品の利用シーンを再現した3つのデモ体験ルームと、デモルームの他、空間中央の什器ではデジタルサイネージを使用し、アニメーションでサービス訴求が出来るコンテンツが配置されています。また、展示エリアのすぐ隣にはMTGルームを設置し、クライアントとのMTGにスムーズに移れるレイアウトとなっています。

費用の内訳は以下の通りです。デジタルコンテンツの投影が可能な長テーブルは、オリジナルで設計・制作を行っているため、「展示装飾工事」の一部である什器工事に多くの費用が掛かっています。

②新社屋ショールームの新設工事

こちらは、製品展示に加え、リモートでの工場見学を可能としたショールームで、デモ機が操作できる個室のデモルームも備えています。

費用の内訳は以下の通りで、移動型什器や掛け替え式パネルを新規で制作しているため、内訳における什器工事の費用が多くなっていることが分かります。リモート工場見学用の3面マルチモニターを設置するための什器費用についても、工事費に含まれています。

③既存工場敷地内ショールームの新設工事

こちらは自社製品を象徴的に表した造作を中心にしながら、製品ごとの具体的な説明とラインナップを行っているショールームです。また、遠方のお客様や他拠点のスタッフとショールーム内でオンラインMTGが出来る設計となっています。

先の2つのショールーム事例では、什器工事における内訳の割合が高くなっていましたが、こちらのショールームは映像機器工事の費用の割合が高くなっています。先進的な工場をアピールする目的で、デジタルコンテンツ関連機器を多く計画していることが主な理由です。

■ショールーム制作のスケジュールに関する注意点

ショールーム制作のスケジュールに関する注意点として、以下が挙げられます。

  1. スケジュールの全体像を把握しておく
  2. 構想段階で要件定義を固める
  3. 広さが200~500㎡の場合、工事にはおおよそ2~3ヶ月かかる(設備工事含む)

いずれもショールーム制作において重要なポイントなので、1つずつ細かく見ていきましょう。

①スケジュールの全体像を把握しておく

内容にもよりますが、大凡200~500㎡のショールームプロジェクトの場合、ショールーム制作の動き出しから運用開始までは、1年~1年半程度かかるのが一般的です。事前にスケジュールの全体像を把握しておくと余裕を持って動きやすくなります。

開業時期から逆算してスケジュールを確保しておくとともに、各工程で社内のチームは何を、どのタイミングで意思決定すべきか、外部ベンダーと事前に詳しくすり合わせておくことが重要です。

②構想段階で要件定義を固める

ショールーム制作のスケジュールを考える場合、構想段階で要件定義を固めておくと後の工程で後戻りが少なくなります。要件定義が甘いと後に修正が必要となり、スムーズに工程が進まなくなるので注意が必要です。

構想段階で要件定義が固まっていると、外部のパートナーとのコミュニケーションも取りやすくなります。プロジェクトの趣旨、パートナーへの依頼業務、スケジュールなど構想段階で必要な要素をすべて決めておきましょう。

その際、事前にRFPと呼ばれる書類を作成しておくとスムーズです。ショールーム制作におけるRFPについては、下記の記事でも紹介していますのでご参考ください。

③工事にはおおよそ2~3カ月かかる

広さが200~500㎡で設備工事も必要な場合、工事にはおおよそ2~3ヶ月程度かかります。。

自社の要望によって工期が変わってくるので、外部パートナーと詳細を詰めて明確な工期を把握しておきましょう。早い段階でショールームの内装、必要な機材、照明などを把握し、正確な工期を割り出せるようにしておくと理想的です。

■まとめ

ショールーム制作においては「解体工事」「設備工事」「内装工事」「展示装飾工事」といったコストが発生します。いずれも、どのような要件にするかによって変動します。本記事の事例などを参考に、およその金額感を掴んでいただけましたら幸いです。

また、ショールームのコスト計画を立てる際には、要件定義が重要です。

当社では、以下のリンクでショールーム・企業ミュージアムプロジェクトに関するホワイトペーパーを配布しています。ショールームやミュージアムのプロジェクト立ち上げ、知っておきたいポイント、はじめに情報整理しておくべきポイントが一気に理解できるホワイトペーパーです。

本記事には載っていないサポート事例なども記載しているので、ぜひ以下のリンクからダウンロードしてみてください。