「ブランディング対策=消費者を対象としたもの」、つまりtoCの戦略というイメージをお持ちの方もいるかもしれません。しかし、昨今ではBtoB企業でもブランディングに取り組む企業が増えています。この記事では、BtoBブランディングはなぜ必要なのか?どのような効果があるのか?などについて解説します。BtoBブランディングの成功事例についても紹介するのでぜひ参考にしてみてください。
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■BtoBブランディングとは?必要な理由は?
まずは、BtoBブランディングの概要や必要な理由についてご紹介します。
●BtoBブランディングとは?
ブランディングとは「顧客から選ばれるための価値づくり」のことです。多くの競合の中から「自社を選んでもらうための価値」を醸成するための施策で、機能や価格が均一化しつつあるビジネスシーンにおいて、ブランディングに取り組む企業が増えています。BtoBブランディングは「BtoB企業が行うブランディング」のことで、消費者ではなく、顧客となる企業を対象に「選んでもらうための価値づくり」を行います。
●BtoBブランディングが必要な理由
ブランディングに取り組むBtoB企業が増えた理由としては、リモートワークの増加やデジタル化による購買プロセスの変化があげられます。
リモート・デジタル化により、顧客が自分たちで情報収集しやすくなり、購買プロセスに応じた役割の分業化(営業、マーケティング、インサイドセールス)が進みました。さまざまな立場の人がそれぞれの知見に基づいて商品・サービスの価値を判断するため、各チャネルから発信する情報(展示会、セミナー、ブログ、ホワイトペーパーなど)にブレがあると、たちまち信頼性やロイヤリティが薄れてしまいます。
「顧客から選ばれる価値」を生み出すには、チャネルが変わっても一貫した顧客体験を提供することが重要になります。そこで、多くのBtoB企業が「企業としての統一感や一貫性を作るための施策」としてブランディングに取り組んでいるのです。
●ブランディングの効果とは?
ブランディングを行うことによって、企業内外に以下のような効果があります。
【対外効果】 ・記憶に残りやすくなる ブランドアイデンティティ・メッセージを表現するビジュアルイメージやキャッチコピーによって、ブランドイメージが顧客の記憶に定着しやすくなります。また、「○○が必要」となったときに想起する機会が増え、商品・サービスの候補に名前が上がりやすくなるという効果も。選考や意思決定で優位に働くといった効果もあるとされています。 ・価格競争の回避 ブランディングによって、価格以外の提供価値を正しく浸透させることができれば、価格プレミアム(顧客があるブランドに対して他の製品より余分に払ってもよいと考えている状態)を獲得できます。価格プレミアムを獲得できれば、価格競争を回避することができる他、売上や利益率の改善・向上に貢献できます。 【対内効果】 ・プロモーションのROI(投資利益率)が上がる ブランド力が向上すると、認知度に合わせて信頼度も高くなります。そのため、継続受注が増えたりセミナーに人が集まりやすくなったり、プロモーションの投資対効果が高まります。 ・生産性の向上・社員のロイヤリティが高まる ブランドのガイドラインや規則を整えることで、意思決定のプロセスがスムーズになり、生産性が高まります。また、ブランディングで会社の価値を明確にすることで、社員のロイヤリティが高まりやすくなる他、「優秀な人材が集まりやすくなり、採用コストが下がる」といった効果も期待できます。 |
このようなBtoBブランディングの効果を最大化するのに欠かせないのが、手段と目的を間違えないことです。ブランディング自体は目的ではなく手段なので、マーケティング、セールスと連動して初めて大きな価値を生み出します。それぞれを分断するのではなく、以下の図のように連携させて考えることが大切です。
●BtoBブランディングのプロセス
次に、BtoBブランディングを実施するときのプロセスを簡単にご紹介します。大きく分けて、以下の3つのステップで施策を進めていきます。
1.マーケティング戦略の整理 まずは、マーケティング戦略を整理します。「企業の立ち位置、抱えている課題を明確にする」「定性的観点・定量的観点から顧客理解を深め、ペルソナ、カスタマージャーニーを設計する」といった施策を行います。 自社に関わる内外の情報を整理できたら、バリュープロポジションを明確にしましょう。バリュープロポジションとは、「自社が提供できるかつ競合が提供できない顧客が求める価値」のことです。このバリュープロポジションをもとにブランドアイデンティティを構築します。 2.ブランドアイデンティティの構築 ブランドアイデンティティとは、バリュープロポジションをわかりやすくまとめたもので、ブランディング施策の核になる要素です。簡単に表現するなら、そのブランド独自の「らしさ」といえるでしょう。 この「らしさ」をわかりやすく言語化・視覚化(ビジュアルアイデンティティ)したものが、ブランドアイデンティティになります。共感を生み、よりわかりやすく伝えるためブランドアイデンティティを物語化したブランドストーリーに落とし込む場合もあります。 3.コミュニケーションへの実装 言語化・視覚化・物語化したブランドアイデンティティを、さまざまな施策を通して社内外に発信します。社内外への発信は、両軸で行うのが効果的です。施策のアウトプットや顧客の反応を社員の目に見える形で社外発信することで、インナーブランディングが加速するきっかけになることも。長期的な視野で、あらゆる企業活動やコミュニケーションに実装し、施策を繰り返します。 4.効果測定と分析 ブランディング施策の効果測定を行い、データをもとに分析を行います。「どのような成果が得られたのか?」「どのような課題が見つかったのか?」といった要素を抽出し、次の施策に活かします。「実施→効果測定→分析→実施」というPDCAを回しながら、施策を改善することが大切です。 |
なお、ここまでにご紹介したBtoBブランディングの効果やプロセスは、以下の記事で詳しくご紹介しています。より深く知りたいという方は、ぜひチェックしてください。
■BtoBブランディングのコミュニケーション事例
博展は、BtoC、BtoBに関わらず、さまざまな企業のブランディング支援を行っています。ここでは、博展の「BtoBブランディングのコミュニケーション事例」をご紹介します。BtoBブランディングの具体例を知りたいという方はぜひご確認ください。
①株式会社豊田自動織機様(JAPAN MOBILITY SHOW 2023)
株式会社豊田自動織機は、2023年10月26日(木)~11月5日(日)に開催されたJAPAN MOBILITY SHOW 2023に出展。
本展示は、東京モーターショーから名称を改め、モビリティの枠を超えた新たな展示会として一新。企業が目指したい未来を一方的に見せるのではなく、来場者と共に目指したい未来を考える場として開催されました。
②トヨタ自動車株式会社様(メッセナゴヤ2023)
トヨタ自動車株式会社は2023年11月に開催された日本最大級異業種交流展示会「メッセナゴヤ2023」に出展。
工場で出る端材を用いて展示物を制作したほか、ブース全体を環境負荷の低い部材で構成し、資源循環の結果を数値として掲出。
東海エリアの地域活性を目的とした当イベントにおいて、トヨタが発信するカーボンニュートラルを空間全体で体現しました。
③株式会社マクニカ様(「MET VALLEY」新横浜本社 ショーケース新設PJ)
株式会社マクニカは、「MACNICA FAN BASE」をコンセプトに新横浜本社1階を改装。「この場を起点にさまざまな方が交流できる場」を目指し、展示、セミナー、ワークショップ、社内イベントに対応できる空間を実現しました。
博展は、意匠計画~実施設計~施工から展示VMD、そして製品のラッピングから施設ロゴ、案内パンフレット制作まで、トータルでクリエイティブサポートをしました。
④日本製紙株式会社様(Sustainable Carton Site)
日本製紙株式会社は、投資家、消費者、さまざまなステークホルダーに日本製紙の紙パック事業の取り組みを紹介するサイトを制作しました。
環境にやさしい資源調達、製造、消費者のリサイクルまで考えられた紙パックをより分かりやすく紹介するページを作成。「CO₂総排出量を可視化できるコンテンツ」なども設計し、環境配慮に優れた紙パックをより直感的に学ぶことができます。 博展は、本サイトのコンセプト設計から、コンテンツ企画、ディレクション、デザインまでをトータルでサポートしました。
■まとめ
ブランディングは、BtoCだけでなくBtoB企業にも積極的に取り入れられている施策です。「記憶に残りやすくなる」「価格競争を回避できる」「プロモーションのROIが上がる」など、さまざまな効果が期待できる他、社員のロイヤリティ向上や採用コストの低下など、社内にも多種多様なメリットをもたらします。BtoBブランディングに興味をお持ちの企業は、ぜひ取り組んでみてください。