文房具をはじめ、椅子やデスク等のオフィス家具の製造・販売、オフィス空間の設計を手掛けるコクヨ株式会社(以下:コクヨ)は、オルガテック東京2023に出展しました。インタラクティブなコンテンツの実施や、製品を展示するだけでなくブースの空間全体を使って「いっしょにつくろう。」のコンセプトを表現したことによって、「オルガテック東京2023 ベストプレゼンテーションAWARD Supported by ELLE DECOR」にて2年連続でグランプリを受賞しました。
博展は本出展において、展示ブースの施工、コンテンツプランニング等を担当しました。
今回のインタビューでは、出展に対する想いやプロジェクトの制作背景をコクヨの成さん、鈴木さん、吉羽さんとともに、博展の山本さん、宮嶋さん、武井さんが振り返ります。
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Index
- 作り手と使い手の垣根をなくした「新しいものづくりのカタチ」を提案したんです。
- 来場者も含めていっしょにつくるような展示にすることで、共創型ものづくりを目指したかったんです。
- 確実に納品できるよう、自社の制作スタジオで事前に何度も仮組みと検証を繰り返しました。
- 今回のオルガテックは、共創の起点となるプレゼンテーションの場になりました。
- 熱いものづくりのプロが集まっていて、博展さんのファンになりました。
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作り手と使い手の垣根をなくした「新しいものづくりのカタチ」を提案したんです。
成:今回私たちが出展したオルガテック東京は、オフィスにおける空間プランニングや家具などのインテリアメーカーが一堂に会する展示会です。
この展示会には毎年出展しており、これまでは会社ごとにどのようなオフィスが必要かを提案していたんですが、コロナ禍を経て、個人、人それぞれの個性を大事にするといった多様性に応えられるような提案が必要でした。
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そこで、今年はものづくりとして一方的に提案してきたメーカーとしてのやり方ではなく、作り手と使い手の垣根をなくした新しいものづくりのカタチを提案したんです。
その新しいものづくりを世の中に発信し、そこに共感してくれるような、事業としてのパートナーである設計事務所などを探せたらと思っていました。
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来場者も含めていっしょにつくるような展示にすることで、共創型ものづくりを目指したかったんです。
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吉羽:そこで今回のコンセプトを「いっしょにつくろう。」にしました。
昨年度は展示する具体的な製品がありましたが、今年は何かモノを展示するのではなく、ブースの空間自体を見せようと思いました。コクヨと博展、そしてお客さまとなる来場者も含めていっしょにつくるような展示にすることで、共創型ものづくりを目指したかったんです。
鈴木:空間自体をプレゼンテーションの場にすることで製品ではなく、ブース全体で取り組みを訴求できたらと思っていました。
また、今回は参加型のコンテンツを用意してインタラクティブな空間にすることで、私たちの取り組みに対し、より理解度を高めていただければと思っていました。コンテンツは、体験型のノウハウがある博展さんと考えていきました。
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成:インタラクティブなコンテンツとしては、「あなたの思う椅子を描いてください。」という自由な発想で椅子のイラストを描いてもらうワークショップを行いました。
人それぞれ考える椅子やテーブルはどれひとつとして同じものはないので、みんなの発想をビジュアル化してもらったんです。
実際に一部のイラストは、その場でスツールとして制作して展示しましたね。
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ものづくりはメーカーだけの仕事ではなく、みんなのもの。だれでも自由にアイディアを発信していいですし、何より楽しんでもらいたかったんです。
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吉羽:これまでは、メーカーだけが製品をつくっていましたが、デジタル化が進んだことによって誰でもものづくりができるようになりました。それを私たちは、“ものづくりの民主化”と呼んでいて、それを「お祝いしよう!」という気持ちを込めて、祭りを象徴する大きな提灯をつくりました。
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確実に納品できるよう、自社の制作スタジオで事前に何度も仮組みと検証を繰り返しました。
山本:今回、デザインはコクヨさん、制作を博展が担当させていただきました。
通常はデザイナーが施工図や細かな寸法図を描きますが、受発注の関係を超えて、この2社でも一緒につくることをテーマに、コクヨさんが起こした3Dイメージを博展が検証しながら実現していきました。
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提灯は最初ご相談いただいた際、実際に形にしたことがないものだったうえ、スケジュールがすごくタイトだったので、どうやって作るかを結構考えましたね。
実際に検証しないとわからないことが多かったので、スピード感も重視しながら、武井さん、宮嶋さんと連携し進めていきました。
武井:デザインをいただいたあとに、まず1/3程のスケールで試しに提灯を作ってみました。そうして、作れるという確信を得てから実寸大で作り始めました。
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吉羽:ある日の夜に、その試作品の写真が送られてきてびっくりしました。スピード感がすごいですし、おかげで完成イメージを早いタイミングで社内で共有できましたね。
鈴木:準備期間に何度も制作過程の様子を写真で共有してもらえたので、こちらも安心感がありました。さらに、途中で制作スタジオに足を運び、実際に制作している現場を見れて非常に安心しました。
宮嶋:この大きな提灯の難しい点は、板自体が2m程の高さかつ9mmという薄さなので、板だけで組み合わせてもグラグラと歪んで形を維持できないところでした。きれいな形を保ちつつ、強度も必要でしたから、提灯に関しては特に多くの検証を繰り返しましたね。
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和紙を貼るという工程は初めての経験でしたが、繊細なものになるので、一番きれいに貼れる和紙を見つけるまで何種類も試しながら、検証を繰り返しました。
武井:一枚一枚の板にあわせて、和紙も分割して設計していきました。「祭」のサインも少しでもずれたらきれいに見えないので、社内のサイングラフィックス専門のチームとも連携し、何度も出力を繰り返し、検証していきました。また、中に入れる照明も事前に何種類もテストして、一番きれいに見えるものを選定していきましたね。
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吉羽:櫓(やぐら)の制作に関しても、博展さんから事前に制作スタジオに送ってほしいとの依頼がありましたね。
武井:はい。当日現場でスムーズに進行できるよう、事前の仮組みが必要でした。櫓自体がかなり多くの数でしたし、実物を見て強度を確認したり、補強などが必要か検証したりしました。
成:今回、Shopbotという木材加工機の防音対策のためにブース内に個室を作って展示したんです。しかし、実際に現場で見たときに、アクリルの開口の位置が高く、Shopbotが少し見えづらく感じたんですね。
そんな私たちの急な要望も汲んで現場ですべて対応いただきました。
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山本:私たちとしても、その状態のまま展示するのはいけないと判断し、その場でどう改善すればよく見せられるかを検討・検証しました。結果的に、開口を広げるために木工を削り、新しくアクリルを発注しました。
鈴木:ロゴのサインを追加で依頼したときも、すぐに制作スタジオで作って現場で貼ってくれました。自社でスタジオを持っているのは強みですよね。
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今回のオルガテックは、共創の起点となるプレゼンテーションの場になりました。
成:2年連続で今年もコクヨのブースがグランプリを受賞できました。
カタチのないものをブース全体で表現していることが評価につながったのかなと。
これまでコクヨに対して真面目なイメージを持っていたひとも、ブースに来て「コクヨさんといっしょにおもしろいことをやってみたい」と思えるようなブースになったんじゃないかな。
「おもしろい」「楽しい」というのは単純に聞こえるかもしれないですが、結局それがないと「いっしょにつくろう」は実現しないです。このコンセプトで最後まで作り上げたことがすごくよかったのかなと。
結果的に、来場者を昨年比約2倍ほどに増加させることができました。
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鈴木:「いっしょにつくろう」のコンセプトに共感していただいた企業や学校、自治体などの多方面から、共創型のワークショップのご相談や案件のお問い合わせが増えてきましたね。
私たちコクヨは、企業や学校など、人との繋がりを大切にしています。そういった意味でも、今回のオルガテックは、共創の起点となるプレゼンテーションの場になったんじゃないかなと。
また当初、提灯は出展後にすべて捨てる予定だったんです。しかし、完成した提灯がとてもよかったので、2メートルの提灯は三重にある自社工場に送って展示することにしました。
成:社内メンバーに「こんなこともできる」と伝えるためにも展示できたらいいなと思ったんですよね。櫓(やぐら)も10個ほど再利用する予定です。ぜひ活用したい、と社内から声が複数あがっているので調整しています。
吉羽:実際に、展示会後に解体して他の拠点で使うことが面白いねという声がありましたね。
サステナブルも裏テーマだったので、それを堅実にできたと思います。
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熱いものづくりのプロが集まっていて、博展さんのファンになりました。
宮嶋:今回は少し特殊な例だったかと思います。
タイトスケジュールだった故に、通常はCADで立面図・平面図など詳細まで作ってから進めるところを、今回は3Dデータだけいただいて作ることになったんです。それが結果的に博展側に余白をもたせたことで自由につくり方を想像させてもらえました。「こんな作り方があるのか!」と初めて学びになることもありましたね。よりラフに、お互いがつくり方を考えられたのがよかったです。まさに「いっしょにつくろう。」だなと。
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武井:私は職種柄、普段あまりお客様と直接対話することはないんです。しかし今回は、デザイン段階から入って仮組みをしたり、検証をしたり、制作も含めてチームで進められたのが良かったですね。
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成:博展さんは、制作の実現力はもちろん、営業さんの対応力が素晴らしいなと。
こちらが依頼したことだけをやるのではなく、求めるクオリティに至るまでの方向性をいっしょに考えてくれますので、受発注というただのパートナーの関係だけではなく、いっしょにつくり上げたチームとしてのプロジェクトになりました。
鈴木:私はプロダクトのデザイナーなので、普段は工場とのやりとりが多いんです。
しかし、今回はプロダクトだけではなく空間もいっしょにできたので、まさに「いっしょにつくろう。」を体験できて非常に嬉しかったですね。例えば、提灯のようなプロダクトでもあって空間でもある中間領域を一緒につくることができたのは、博展さんだったからこそだなと思います。
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吉羽:熱いものづくりのプロが集まっていて、そういった博展さんの職人気質なところを見て、ファンになりました。
私自身は博展さんと展示会で一緒になったのは初めてでしたが、チームとしてすごくよかったと思います。スピード感も含めて、一緒に伴走してくれるパートナーだと感じますね。
成:博展さんは、様々な業界や施設づくりのノウハウ、実績を持っているので、これからも博展さんからどんどん提案してほしいです。
展示会に限らず制作を超えたところでも、今後もチームとしていっしょにやっていきたいですね。
宮嶋:コクヨさんは、ものづくりへのこだわりが強いお客様なんです。そういったお客さまほど、制作チームとしてしっかり納品したいと思わせてくれます。プロジェクトに関わる人たちの想いを大事にしながら、今後もご一緒できると嬉しいですね。
武井:コクヨさんも博展も、純粋にものづくりが好きな人たちばかりなので、これからもいっしょのチームとして高め合っていきたいですね。
オルガテックのグランプリ、3連覇目指して頑張りたいです!
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OVERVIEW
CLIENT | コクヨ株式会社 |
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PROJECT | オルガテック東京2023 |
VENUE | 東京ビッグサイト |
オフィス家具の製造・販売、オフィス空間の設計を手掛けるコクヨ株式会社は、オルガテック東京2023に出展。 |
CREDIT
プロデューサー | 田口幸平、山本聖 |
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プロダクトマネジメント | 武井俊樹、深町則史 |
制作 | 宮嶋聡、松村峰、渋谷友美、川島滉市 |