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Tokyo Motor Show2019
深いブランド理解の先に結実した
大規模プロジェクト
未来のモビリティ社会を体感できるイベントとして「OPEN FUTURE」をテーマに開催された「第46回 東京モーターショー」。2019年10月24日から11月4日まで開催された自動車の祭典で、博展はマツダ株式会社のスタンド企画、デザイン、製作を担当しました。この大型プロジェクトをつくりあげたのは、約20名の博展スタッフと、100名を超えるパートナー。綿密なプロジェクトマネジメント、深いブランド理解、そしてクライアントとのリレーションによって空間デザインを行い、クライアントの世界観を表現しました。「MAZDA Tokyo Motor Show 2019」のプロジェクトがどのようにつくられていったのか。担当した3名のプロジェクトメンバーが振り返ります。
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2017年中途入社。クライアントと社内を繋ぐ窓口となり、全体の進行管理を担当。プロジェクトが潤滑に進むよう、素早い判断、適切な情報共有、丁寧なやりとりを心がけ、クライアントからの信頼を獲得した。
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2014年中途入社。本プロジェクトでは、社内外にわたるクリエイティブチームを統括し、デザイン、設計、製作の橋渡し役を担当。クライアントとの密なコミュニケーションを重ね、高い水準のクリエイティブに貢献した。
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2006年新卒入社。社内外の製作チームを取りまとめ、製作業務の工程管理を担う。博展として培ってきたクライアントとの関係を大切にしつつ、これまでに経験のない規模の造作物の製作にも挑戦した。
深いブランド理解のために重ねた
密なコミュニケーション
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国内外の多くのメーカーが一堂に会し、未来の自動車産業を担う新製品を発表した「第46回東京モーターショー」。延べ100万人の来場者が訪れ、大盛況のうちに幕を閉じた同イベントにおいて、博展はマツダスタンドの企画、デザイン、製作を担当しました。
片田「世界でもプレゼンスがあるマツダが、日本で新製品を発表する。そこにかける意気込みはとても大きいです。その舞台を彩るという重責は、相当なものでした」
カーデザイン思想である「魂動デザイン」に代表されるように、マツダはデザイン・クリエイティブに力を入れている自動車メーカーとして知られています。そうしたクライアントの高い水準をクリアするために必要なのは、深いブランド理解。プロジェクトメンバーはより近い距離でクライアントとコミュニケーションを重ねることを意識していました。
片田「企業対企業ではなく、人対人の関係性をいかにつくれるかを意識しています。一人の人間として、貢献できることを愚直に行っていく。特別なことではなく、そうした姿勢に尽きるのだと思います。例えば、私自身はデザイナーではありませんが、マツダのデザインに対する考え方を理解するために情報を吸収し、対等に会話ができるよう心がけていました」
桑名「ブランディングを行う上で、企業の根幹にある思想を知ることは大前提。その上でそれを空間に落とし込み、形にしていくために、密にコミュニケーションをとることを意識していました。懸念事項はすぐに電話で共有し、図面を見ながら意見を出し合う。それが可能な協力体制をクライアントとの間につくっていく。言葉にすると何てことのないことのように感じますが、こうしたコミュニケーションの下地をつくることで、情報のギャップが埋まり、信頼関係が生まれる。そして良いクリエイティブに繋がっていきます。大きなプロジェクトでは、対峙している担当者の先に多くの関係者がいます。顔の見えない彼らにも納得してもらうものづくりをしなければいけません」
専門性を束ねたチームが
実現したクリエイティブ
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この大規模プロジェクトを、クライアントと共につくり上げていったのが、多くのパートナー会社と、総勢20名にも及ぶ社内メンバー。製作管理を担当した高島は、このプロジェクトのためにいつにも増して入念な準備を行い、丁寧な仕事を心がけたといいます。
高島「制作ディレクターの役割は、メンバーのスペシャリティが発揮できるようにプロジェクトの手綱を握ること。これまでに経験したことが無い大規模なプロジェクトだったので、進行に滞りが無いよう、各部署と丁寧なコミュニケーションを行いました」
メイン会場のスタンドデザインを行う上でポイントとなったのが、5mを超えるガラスの一枚板による外観設計。素材がシンプルな分、素材の扱いや造作の仕上げといった部分で粗が目立ちやすく、施工には高い技術力が求められます。ガラス加工を専門とするパートナー会社ですら、はじめての経験だったといいます。
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高島「このガラスは専門会社ですら経験したことがないサイズです。初めてご一緒する会社の方々と、初めての工法で施工を行っていったのですが、計算上は可能だとわかっていても、やはり形になるまでは緊張しましたね」
自動車の展示会は、短期間で店舗のような常設展示のクオリティを実現しなければならない、難しい現場。大規模かつ予測不可能な事態が次々と起こるため、メンバー全員に自立的な判断が求められます。こうしたプロジェクトを進めていく上では、チームメンバーが自立的に動くために、ビジョンを共有することが何より重要でした。
桑名「私たちは、一人では何も生み出すことができません。チームになって初めて仕事が生まれ、価値を発揮することが可能になります。メンバーがゴールに向かって同じイメージを共有できたからこそ、今回のプロジェクトを形にすることができたのだと思います」
片田「本当にこれまでに経験がないことの連続でした。それでもメンバーからは後ろ向きな発言は一切出なかった。どうすれば実現できるかだけを全員が考えていた。モチベーションの高い良いチームで取り組めました」
強烈なビジョンが、
ものづくりには必要だ
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営業、製作、クリエイティブ。それぞれの担当者が力を発揮したからこそ実現できたプロジェクトだとメンバーは口を揃えます。このプロジェクトを振り返り、3人は何を考えているのでしょうか?
片田「これまでもマツダのイベントや展示会を担当してきましたが、その中で積み重ねてきた関係性が結実したプロジェクトだったと感じています。プロジェクト終了後に『博展に任せて良かった』と言っていただけたときは嬉しかったですね。引き続き良い関係性を築いていきたいと思います」
高島「社内外問わず、懸念点を共有し、臆することなくアイデアを交換していました。メンバー全員がそれぞれの役割を全うし、一つ上のレベルに到達することができたと思います。非常にありがたい経験でした」
桑名「社内でプロジェクトを振り返った際、全員が仕事の成果に満足することなく、次はもっと良いものができるはずと口にしていました。メンバー間でゴールを共有し、モチベーションを高める。ものづくりにおいてビジョンの果たす役割がいかに大切であるかを改めて学んだプロジェクトでした。これからも博展が持てる力を発揮し、より良いクリエイティブをクライアントに提供していきたいと思います」
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スタッフクレジット
- 営業
- 片田 秀樹三木 翔平浦川 逸澤岡 佳介赤神 諒
- クリエイティブディレクター
- 桑名 功
- デザイナー
- 堀田 純希青山 高久中尾 友哉藤原 慧茉
- 制作ディレクター
- 白川 陽一松尾 仁也佐藤 和徳高島 譲二
- 製作
- 田草川 貴
日本製鉄株式会社
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現場の声をかたちに。
クライアントの持つ資産を再生させたショールーム設計
株式会社ポーラ
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「POLA SHOT BRIGHT」
つくり手の「楽しい」は伝播していく